丸新製陶の技術をお知らせするブログ、今回は「施釉(せゆう)」について紹介します。
身の周りの焼き物をご覧頂くと、表面にガラス質のコーティングがされているものが多く存在するかと思います。
「つるつる」または「ザラザラ」または「マット質」なものなど、幅広くいろんな表情のものがあるかと思いますが、いわゆるそのガラス質のコーティングが、釉薬(ゆうやく:うわぐすりとも読みます)になります。
釉薬を施す作業を「施釉」と言います。
丸新製陶では、素焼きをした製品を液体状の釉薬にドボンとつけて引き上げる方法で施釉をしております。
「百聞は一見にしかず」ですので、まずはこちらの動画をご覧下さいませ。
作業のイメージ伝わりましたでしょうか?
全ての製品を一つ一つ熟練の技にて施釉しております。
施釉したものを約1230℃の本焼成をすると、皆様のお手元に届く商品の出荷前の状態になります。
釉薬によって、色や艶、透明感、また石や金属など他素材のような質感などあらゆる表情を作り出すことができます。
本焼成の温度帯や生地との相性などで、釉薬の中のガラス成分や金属などがどのように化学変化するかを調整することでそれらの表情は作られます。
一度本焼成をしてしまうと、もう元には戻せないのが焼き物ですので、極力ロスを無くすよう一つ一つ丁寧に作業する必要があります。
(使用上は何も問題はなくても、釉薬のムラやダレ、ピンホールと呼ばれる気泡が入る現象や、鉄粉などが見られるものなど、見た目にNGなものは検品をして出荷しないようにしております。)
施釉と直しの作業は、リレー競技で例えるならばアンカー的作業で、施釉前の全ての作業が繋がったバトンを受け取って、商品の顔を決める大きい役割を持っています。
動画内にもありましたが引き上げる時に釉薬が垂れますので、釉薬の状態や特徴・器の素材や形状などによって、引き上げる方法やスピード感を調整して釉薬を垂らさないよう作業します。
ゆっくり丁寧にやれば釉ダレは無くなりますが、生産量を上げるためにはスピードも当然必要ですので、綺麗かつスピーディーに、という両立にはまさに熟練の技が必要となります。
また直しの作業もロス率を下げるために必要不可欠な大切な仕事になります。
実際に動画で作業を見ていただくと、個別に様々な形状において、どういった問題が生じやすいかイメージの共有ができる部分もあるかと思いますので、もしオリジナルで器をお考えの方はお気軽にご相談くださいませ。
次回は、施釉時に使う道具について紹介したいと思います。
引き続きどうぞ宜しくお願い致します!