丸新製陶の技術をお伝えするブログ、前回「施釉」について取り上げさせて頂きました。
今回は施釉の際に使う道具の中でも「ハサミ」についてピックアップ致します。
「ハサミ」といえば紙や髪を切る「鋏」を想像しますが、焼き物における「ハサミ」といえば施釉の際に器などを挟んで掴むこんな道具になります(上記写真)。先日の施釉動画の中でも一部使用シーンが映っています。
波佐見焼のメーカーがこのハサミをモチーフにしたロゴマークでブランディングした有名な事例などでご存知の方も多いかもしれません。
手で掴んで施釉する場合もありますが、その場合、器と指の接地してる部分が跡として残りやすくなります。
跡を残さず綺麗に施釉したい場合、細いワイヤーで、接地面を極限まで小さく出来るこれらのハサミを使います。
器やお皿のサイズや形状に合わせ、様々な大きさ・形のハサミが存在します。
既存のハサミでは上手く施釉することが難しい器があった場合、オートクチュールでオリジナルのハサミを作って頂くこともあります。焼き物の産地ならではな話です。
一見すると「どう使うんだろう?」という不思議な形をしたハサミも、それぞれの形に意味があり、それに応じた使い方があり、そこには好きな人には恐らく堪らない道具の世界があります。
見る人によっては、器の仕上がりを見てどういうハサミを使ったか分かる場合があると思います。
決して表舞台に顔を出すことがない道具ですが、施釉において欠かせない象徴的な道具であり、今後もこういった焼き物ならではな道具の世界も伝えていきたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します!